粘性と膜厚の関係については、「引上げ速度と膜厚の関係について」のとおり、膜厚は、動粘度ηの乗もしくは乗に比例します。
粘度は、粘性率、粘性係数ともよばれ、単位はSI単位系でPa・s(パスカル秒)、CGS単位系ではP(poise、ポアズ)が用いられています。
1ポアズとは、流体内1cmにつき1センチメートル毎秒(cm/s)の速度勾配があるとき、その速度勾配の方向に垂直な面において速度の方向に1平方センチメートル(cm2)につき1ダイン(dyn)の応力を生ずる粘性率の事をいいます。
パスカル秒とポアズの関係は、
1Pa・s=10P
1mPa・s=1cP
実際には、センチポアズやミリポアズが使われていました。
1P=100cP(センチポアズ)
1P=1000mP(ミリポアズ)
ディップコーティングにおいては、粘性での調整は限界があるのが現実です。
生産量と引上げ速度のシミュレーションが必要になります。
また粘度は温度による変化が大きいため、ディップコーティング時は、液温度の制御も重要になってきます。
【粘度の例】
マヨネーズ | 8000 |
ヒュミシール | 230 |
灯油(20℃) | 10 |
IPA(30℃) | 1.77 |
水(20℃) | 1.0 |
酢酸エチル(20℃) | 0.449 |
MEK(20℃) | 0.40 |
単位(cP)
ヒュミシール(HumiSeal)は、Chase Corp., HumiSeal Divisionの商標です。
粘度管理にはレオメーターをお勧めします。
ディップコーティング作業が数時間にわたるケースでは、溶剤成分の揮発や液温の変化などにより、コーティング液の粘度が変化してしまう事があります。ディップコート装置自体の動作は再現性が高くても、液の物性変化を起因とする再現性低下につながります。