ディップコーティングの工程において、洗浄工程を欠かすことはできません。
コーティング対象物の表面が汚染されている場合、濡れ性や密着性などの膜特性が著しく低下することがあります。洗浄工程とディップコート工程を別々のユニットすると、洗浄後の再汚染リスクがあるため、量産用装置については一体の装置構成をお勧めしております。

洗浄工程は、ドライ洗浄からウェット洗浄など最適な洗浄方法をご提案いたします。


ドライ洗浄

ディップコーティングは、ワーク(コーティング対象物)と液の表面張力の関係を利用してコーティングする為、ワークの表面洗浄、親水処理は重要です。

前処理については、湿式洗浄(ウェットプロセス)、乾式洗浄(ドライプロセス)に分けられ、UVオゾン洗浄やプラズマ洗浄、超音波洗浄などがあります。ここでは、ディップコーティング前処理として簡易に導入可能なUVオゾン洗浄についてご説明します。

UVオゾン洗浄の原理は、低圧水銀ランプ(UVランプ)から発するUV(紫外線)の短波長光エネルギーが、基盤表面上の有機汚染物質の結合を分解するといったものです。
また、同時に紫外線により発生したオゾンから分離した活性酸素(O)が、有機汚染物質と化学的に結合し、二酸化炭素や水などの揮発性物質に分解反応させて除去します。

UVオゾン表面洗浄改質の仕組み

1) 洗浄処理前

ドライ洗浄の仕組み 1

2) UV照射

ドライ洗浄の仕組み 2

UVランプから照射される184.9nmの波長の紫外線により、酸素分子が分解され、酸素原子が生成されます。また有機汚染物質の結合も分解されます。

3) オゾンの生成

ドライ洗浄の仕組み 3

分解された酸素原子が、大気中のO2(酸素分子)と結合し、O3(オゾン)が生成されます。

4) 活性酸素の生成

ドライ洗浄の仕組み 4

発生したO3(オゾン)に253.7nmの波長の紫外線が、照射されるとオゾンは分解され、励起状態のO-(活性酸素)が生成されます。

5) 汚染物質の除去

ドライ洗浄の仕組み 5

2)~4)が同時に繰り返され、活性酸素が豊富な状態になり、生成された活性酸素は、基板上の汚染物質C(炭素)と結合し、CO2等の揮発性物質になり除去されます。

洗浄改質事例

UV洗浄改質事例

UV洗浄についての詳細はこちら


ウェット洗浄について

私どもあすみ技研は、ウェット洗浄工程において、水系・準水系、有機溶剤系から炭化水素系までさまざまな環境に最適な洗浄システムをご提案いたします。

ウェット洗浄の種類

同一コーティング条件、硬化条件での密着状況

ウェット洗浄あり
ウェット洗浄あり
ウェット洗浄なし
ウェット洗浄なし

ウェット洗浄無しのワークには、コーティング膜の剥離が著しく見られます。


洗浄部分製作事例:水系洗浄装置

洗浄装置事例

市水、純水での揺動および超音波洗浄をディップコーティング前に施すことにより、コンタミなどを除去し、コーティング液の密着性の向上を図ります。


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