ナノインプリント技術
ナノインプリント技術(Nanoimprint Lithography)は、1995年に現プリンストン大学(当時ミネソタ大学)のStephen Y.Chou教授らが提唱した微細パターンの量産技術です。
原版(精密金型)を基板に押し当てることで微細加工を実現する技術で、従来の露光装置に対し光源やレンズなどが不要で、装置が簡単な為、低コストでナノオーダーのパターンが量産できると期待されています。
応用事例としては、下記の様なMEMS領域で実用化されつつあります。
- マクロレンズや回折格子、光導波路等の光学部品
- ハードディスクのパターンドメディア等の記録媒体
- バイオチップ
- 光や圧力センサー など
離型処理の必要性
ナノインプリントリソグラフィ技術は、高集積LSIなど高度な微細パターンへの展開を期待されながら、精密金型との離型時に生じるクラックの発生などが、量産展開への妨げになってきました。
このような離型不良による破損を防ぐためには、精密金型(モールド)の表面エネルギーを低くすることにより、樹脂との接着力、摩擦を低下させることが一つの有効な手段です。
今後展開か期待される工業量産用途においては、金型の耐久性、離型性の持続力の課題があり、金型パターンへの離型剤コーティングが、重要になってきています。
主な離型剤コーティング方法としては、
- 蒸着
- スピンコーティング
- 含浸法
が挙げられます。中でも含浸法は、量産性、装置のコスト、立体パターンへの追従性、大型ワークへの対応など、メリットがあります。
当社の含浸法装置は、過去の装置導入や離型剤受託コーティングを通じ、お客様のニーズに応じた離型剤コーティング装置をご提供いたします。
当社ソリューションのご案内
量産の場合の精密プレス前に必要な金型の洗浄、離型剤のコーティング・定着、評価、再洗浄まで一連のソリューションをご提供します。
装置事例
装置名 | DIP/UV洗浄一体型装置(ナノインプリント離型剤コーティング用) |
装置サイズ | W1500 × D800 × H1500 |
ワークサイズ | 幅100mm以下の立体物 |
工程 | ウェット洗浄→UV洗浄→離型処理→定着乾燥→リンス処理 |
制御速度 | 0.1~30mm/sec |
UVランプ | 低圧水銀ランプ 110W 一灯 |
UV波長 | 184.9nm、253.7nm |
照度調整 | ランプとワークの距離を10~50mmの間で調整 |
ユーティリティ | 3φ AC200V 10KVA 30A |
ドライエア 0.5MPa |
その他ソリューション
離型剤
主としてフッ素系の精密金型向け離型剤をご提案します。
活性基が、精密金型の表面と化学結合し、2~6ナノメートルの単分子膜を形成することにより、精密金型の微細構造を埋めることなく、連続したショットを実現します。
用途は、熱ナノインプリント、光ナノインプリント双方に使用可能で、材質も硝子、シリコン、石英、金属(Ni電鋳など)にご利用可能です。
ワークの洗浄・表面改質
ワークの洗浄は、プラズマ洗浄、コロナ洗浄など各種ありますが、ワークへのダメージを考慮し、紫外線洗浄(UV洗浄)をご提案いたします。
低圧水銀ランプを用い、184.9nmと253.7nmを主波長とした紫外線(UV光) による洗浄表面改質や、エキシマランプ(Excimer Lamp)を用いた主波長が172nmの紫外線による光洗浄により、精密金型(ワーク)表面の有機物を除去し、親水性を向上させ、離型剤の密着性を向上させます。
濡れ性評価装置
- 離型処理の評価だけでなく、UV洗浄後の評価にも最適。
- 軽量コンパクトで、お求め安い価格
- 解析ソフトウェアが標準装備。
- 取り込んだ画像を自動認識、解析するので、作業者による測定誤差がありません。
- 取り込んだ画像は、データとして保存。ログ解析にも利用できます。
- オプションで表面自由エネルギー計算ライセンスもご準備しております。
UV洗浄後の表面の清浄度を評価する手段としては、水滴を表面に滴下して水に対する濡れ性(接触角)を測定する方法が、簡便で短時間に評価できることから、一般的に用いられています。
当該装置は、解析ソフトウェアを標準で装備し、接触角をリアルに測定できます。